ハンターとして生計を立てるのはかなり難しいです。というか無理です。
専業のプロのハンターなんて、日本に何人いるのでしょうか?
ぼくは一人も知りません。
ぼくの目的はあくまで自給。「食べること」なのですが、猟師をビジネスとして成立できれば地域おこしにもなりそうです。
「認定鳥獣捕獲等事業者」という仕組み、ちょっとチャンスなのかもしれませんよ!
「認定鳥獣捕獲等事業者」というシステム
▼今年の7月にこんな記事が。
狩猟とは無縁だった警備会社や建設会社がイノシシやシカの捕獲に乗り出そうとしている。鳥獣保護法が改正され、新たに認定鳥獣捕獲等事業者の仕組みができて門戸が広がった。
▼アルソックが事業者として乗り出したみたいです。
ALSOKのグループ会社の神奈川綜合警備保障(横浜市)は2年前、狩猟チームを立ち上げた。社員が狩猟免許を取り、昨夏から個人として地元から捕獲許可を受け、シカなどを捕らえている。ALSOKでは、神奈川と千葉のグループ会社で認定を申請する予定だ。ALSOK営業推進部の福田貴一課長は「高齢者宅や空き家の見回りと捕獲事業を組み合わせれば、事業として成り立つ」とみる。
いや、いいじゃないですか!
企業に雇われる猟師、つまり「サラリーマン猟師」が可能になるってことですね!
▼先日の記事でご紹介した年間400頭シカをとる早川さんも始めるみたいです。
野生動物の捕獲を専門とするNPO法人「若葉」(静岡市)も認定を狙う。40年以上の経験を持つハンターや射撃競技の国内トップクラスの実績があるメンバーら約10人が在籍する。早川五男副理事長は「すでに複数の自治体から捕獲指導のオファーが来ている。認定されれば入札に参加しやすくなる」と話す。
▼いままでは駆除は猟友会が一手に引き受けてました。
一方、これまで捕獲事業を担ってきた大日本猟友会の受け止めは冷静だ。各都道府県の猟友会に認定を受ける手続きを進めるよう呼びかけている。今後も事業を担えるよう体制を整えていくという。担当者は「経験がない人が捕まえようとしても簡単にはできない。猟友会にはキャリアのある人が多数いる」と話す。
「認定鳥獣捕獲等事業者」という仕組みができて、いままで猟友会しかやっていなかった有害捕獲に他の団体が参加できるようになったということですね!
「狩猟」と「有害捕獲」のちがい
狩猟と有害捕獲
野生動物を捕るには許可が必要で、許可には狩猟と有害捕獲の2種類がある。狩猟は、鳥獣保護法で「狩猟鳥獣」とされたものが対象となる。狩猟免許を持つ人が、都道府県に登録して行う必要がある。期間や猟の方法は制限される。有害捕獲は、農作物や人間の生活に影響が出る場合に、個人や団体が許可をとり、被害の原因となった動物を捕獲する。県が対象の動物の状況に応じて、捕獲の期間や数を決めている。
「狩猟」と「有害鳥獣捕獲」は別なのです。ハードルとしては「狩猟」の方が低いのですが、猟期が定めらているなどの制限があります。一方、「有害鳥獣捕獲」は行政の計画にのっとって活動することになりますが、年間通して活動でき、報償金も出ます。
▼行政で捕獲数は決められています。島田市はイノシシ年間400頭!!
▼島田市の報償金はこんな感じ。カモシカは狩猟ダメなんですけど、有害捕獲ならOKです。カラスも1羽500円。
猟師でお金を稼ごうと思ったら、まずは「有害鳥獣捕獲」が考えられますね。もちろんそれだけではきついですけど。
猟師のパラドックス
猟師を仕事にしようとするとどうしても直面するパラドックス(矛盾)があります。
それは、
「獲れば獲るほど獲物が減る」
ということです。
がんばって仕事すれば仕事するほど、自分の仕事を減らすことになるわけです。
今は「猟師の減少」と「獣害鳥害の増加」で猟師の需要は高いのですが、今後なにかのきっかけで爆発的な狩猟ブームがやってくるかもしれませんし、気候の変化で鳥獣が激減するかもしれません。
「猟師」をビジネスにしようと思ったら、「狩り」に依存しないモデルをつくらなければなりません。
猟師=狩猟という常識を覆していかなければ!
おわりに
記事の中で取り上げた「認定鳥獣捕獲等事業者」という仕組み。
なにかの拍子に法改正があれば、なくなってしまう可能性がないともいいきれないはずです。
どんなビジネスでも制度のみに頼ったモデルはあやうい気がします。
あくまで自立できるビジネスとして猟を考えていきたいです。
地域おこしも同じことが言えますね。
補助金や制度ありきの地域おこし活動は持続可能性の面で疑問があります。
政府が方針を変えたら、土台ごとなくなってしまうわけですから。
「持続可能性」ってビジネスでも地域おこしでも同じなんですね。
このさき10年20年、さらには自分の子どもや孫の世代まで考えていかねばなりません。